ドキュメンタリー映画「氷上の王、ジョン・カリー」を観てきました。
予告編をみたときも、きれいだな〜と感じましたが、
美しく幻想的な滑りはまさに氷上のバレエ!
映画のなかででみられるのは8作品。
「シェヘラザード」
「タンゴ、タンゴ」
「牧神の午後」
「トリオ」
「バーン」
「ムーンスケート」
「ウィリアム・テル序曲」
「美しき青きドナウ」
このなかで特に印象深かったのは、「牧神の午後」の牧神とニンフのデュエットでした。
スケートの特性をいかして、からだを動かさずに移動するパートの浮遊感は、
「現実だったのか夢だったのか」というナレーションのとおりです。見とれました。
「タンゴ、タンゴ」は一変して、力強くセクシーな男性を演じていて、
ジョン・カリーの表現力の幅のひろさにびっくり。
今でもまったく古さを感じない振りつけの数々。
「スケートと芸術の融合」のひとつの到達点ですね。
70~80年代の映像は画が荒いですが、それも気にならないくらいに美しいです。
そして、「バレエを習いたい」「踊りたい」との願いを父に否定され、「スポーツと名目が立つから」とスケートは認められた彼。
許された氷上で自らの美をめざしていった姿。
青年期になり「踊るのは子どもならともかく、青年には相応しくない」とスケート界から言われた彼。
「男らしく」という社会の圧力に、抵抗し続けた姿には、とても共感するものがありました。
自分が演じたいものを実現しようとした彼の強さと、自分のありのままを受け入れられなかった孤独感と。
フィギュアスケートファンを自認しながら、実はこの映画をみるまで、
ジョン・カリーのことを知らなかったのです。
不明を恥じ、これから動画探ししま~す!
(町田樹さんが「けっこう動画が上がっています」とジャパンプレミアで言っていたので)
アップリンク吉祥寺では、公開記念に「フィギュアスケートの衣装展」もやってました。
ビーズやスパンコール、鏡などのパーツがこまかく縫いこまれています。
スケッチも展示されていて、「竹ビーズを流れるように」とデザインの意図がわかります。
引退する演目だから…ということにも配慮されて作られていることに感心しました。