フィギュア不毛の地と言われたスペインで生まれ、フィギュア界にその名を刻んだ、あるスケーターがいました。その人は数々のスペイン人初の偉業を成し遂げ、世界の頂点にもなりました。そんな彼の名前はハビエル・フェルナンデスです。同門の羽生結弦選手とは良きライバルであり、良き友達でもありました。トップの技術を持ちながら、同時に素晴らしい人格を合わせ持ったフェルナンデス。彼はどのようにして、誰からも愛される人となったのでしょうか。
ハビエル・フェルナンデスのインスタから見えた魅力
これから紹介していくフェルナンデスは、選手としてはもちろん優れていましたが、何よりも人柄が良く誰からも愛される人でした。インスタグラムを見ると、そんな彼の人柄の良さがよくわかります。
いつも自然体な明るい笑顔でスケート仲間や子供達、友達、たくさんの人に囲まれています。時にはウケを狙ったようなお茶目な姿もアップしていて、サービス精神が旺盛です。
写真はフィギュア界で共に活躍してきた人や現在も活躍中の選手などのスケーターと一緒に写ったものが多いですが、サッカー選手やテニス選手など他業界のスポーツ選手とも交流があるようです。フェルナンデスがいかに友好的で社交的な人物かが伝わってきます。
ハビエル・フェルナンデスと羽生結弦の頂上決戦、世界選手権2015・2016
フェルナンデスは言わずもがなスペインの英雄です。
スペインはフィギュア不毛の地と言われるほど、今までフィギュア選手がいませんでした。そんな中、彼はスペインだけでなく、世界から認められ愛されるスケーターとなったのです。
残した成績は平昌五輪で3位、世界選手権2015年2016年連覇、欧州選手権7連覇。
オリンピックのスペイン代表として、バンクーバー、ソチ、平昌と3大会連続で出場しています。この中でも、世界選手権に注目してみました。
2015年の世界選手権では、ショートプログラム2位発進でしたが、首位の羽生選手に転倒などのミスがあり逆転で優勝しました。世界選手権9度目にしてついに頂点に立ったのです。
2016年の世界選手権でも、ショートプログラムは2位発進で首位も羽生選手でしたが、そのシーズンのフリープログラムで初めてノーミスの演技を披露しました。
その結果、フリースケーティングの得点が216.41でパーソナルベストを更新し、歴代2位、総合得点でも314.93で歴代3位のハイスコアを叩き出しました。そして逆転優勝、2連覇を成し遂げました。
ハビエル・フェルナンデスの気になる現在、引退後はどうしてる?
フェルナンデスは2018年11月引退発表し、2019年1月に開催されたヨーロッパ選手権で引退しました。
最後の試合はヨーロッパ選手権と決めていたようで、長い間ブライアン・オーサーのもとでカナダを拠点に練習してきましたが、出身がスペインということもあり、最後はホームとも言える地で迎えたかったのでしょう。
現役最後となったヨーロッパ選手権でもショートプログラム3位から見事な逆転優勝を果たし、有終の美を飾りました。そんなフィギュアの一時代を築いた選手であるフェルナンデスは、引退後どう過ごしているのでしょうか。
現在はプロスケーターに転向し、今でもスケートに携わっています。
多数のアイスショーにも出演しており、現役時よりもさらに多くのファンの前で演技して楽しませているようです。
また、新しい挑戦として「フラメンコ・オン・アイス」というプロジェクトを立ち上げました。
「フラメンコ・オン・アイス」はフラメンコとフィギュアスケートを融合させて、新しい芸術の開拓を目指して作られたプログラムです。フラメンコの本場であるスペイン出身であり、現役時代のプログラムでも何度もフラメンコを取り入れたフェルナンデスが新しいエンターテインメントを作るなんて、興味が湧きます。
2020年に予定されていた「ファンタジー・オン・アイス」のなかで「フラメンコ・オン・アイス」としてスパニッシュのプログラムを滑る予定でした。
新型コロナ感染症予防で、幕張と仙台のアイスショーが中止になってしまい、本当に残念です。
ハビエル・フェルナンデスが日本でコーチング、“奇跡のレッスン”
“奇跡のレッスン”とはBS1で放送されている番組で、世界で名をはせる超一流の指導者が子供達に1週間ほど集中レッスンをするという内容です。
この番組の指導者として引退して間もないフェルナンデスが出演しました。一週間という短い時間に加えて、全くコーチ経験のないフェルナンデスが出演するのはかなり意外でした。ですが、子供達一人ひとりに真摯に向き合っており、どこか自信のなさそうな子供達をポジティブな言葉で励ましている姿が印象的でした。
すべての言葉に重みがあり、世界のトップスケーターとして長く活躍してきた彼らしい励ましで、人柄の良さが伝わってきました。最後の子供達が披露した発表会は、最初とは見違えるほど自信の溢れる生き生きとした表情していました。
これがそのときの様子です。たった1週間でここまで変わることができた子供達もそうですが、やはり変わるきっかけを与えたフェルナンデスはすごい選手です。
ハビエル・フェルナンデスの現在の彼女は?安藤美姫とはどうなったの?
フェルナンデスは一時期日本でも話題に上がりました。2014年に発覚した元フィギュアスケーターの安藤美姫さんとの交際です。
“スペインの貴公子”とも呼ばれており日本でもかなり人気なフェルナンデスと元世界女王でもある安藤美姫さんのペアはかなり衝撃を与えました。
しかし、2016年の後半あたりには頻繁に公開されていた2ショットの写真もなくなって破局説も流れました。
その後もスペイン人の彼女がコンスタントにいたようですが、2019年の年末にスペイン誌「DIEZ MINUTOS」のインタビュー中で日本人の彼女がいると発言しています。
まだ、日本人というのとスケート選手ではないという情報しかありませんが、フェルナンデスはかなりオープンな性格で過去の交際も隠さず公開していたタイプなので、2人で写った写真を公開するかもしれません。
ハビエル・フェルナンデスのプロフィール 身長・年齢から競技人生のすべて
まず、姉のラウラがスケートを始めたのをきっかけに6歳でフィギュアスケートを始めました。当時のスペインには男子のフィギュア選手はいませんでした。
17歳になった彼は、ニコライ・モロゾフに師事し始めますが、2010年のバンクーバー五輪で14位となり、その他数々の意見の不一致からブライアン・オーサーに師事し始めます。
その後、スペイン人初のグランプリファイナル出場、スペイン人初のISU主催大会での優勝、スペイン人初の欧州王者、スペイン人初の世界選手権表彰台など偉業ばかりの競技人生を送りました。
それでも勢いはとどまることを知らず、一気にトップ選手への階段を駆け上がったのです。
身長173㎝と決して恵まれた体格ではなかったですが、常にトップ選手であり続け、27歳で引退とフィギュア選手としては長めの競技人生でした。
あるインタビューでフェルナンデス自身がこう語っています。「現実的なゴール設定をすることが大切」「練習はしすぎてもしなさ過ぎてもだめ」「自分ができると思ったこと以外のことは、自分に課さない」。
最近は女子選手も体が未発達の状態で4回転ジャンプなどの体に負担のかかる技をすることで、早期引退が問題となっています。
しかしフェルナンデスは自分の体を客観的に見て理解することで、無茶な練習を避け、結果的に長きにわたって活躍した選手となりました。もちろん練習するのは悪いことではありましん。しかし、体に負担となるのは確かです。
なので、フェルナンデスのように各選手が自分に合ったペース配分を見つけて、少しでも長く活躍してくれると嬉しいです。