こんにちは、さややです。12月に「活動休止宣言」をして「引退か?」と大きな波紋をよんだザギトワ選手。すべてのタイトルを手にしてモチベーションを保つのが難しいだけではなく、女子選手特有の体型の変化が彼女を苦しめているようです。
当ブログでは、ザギトワ選手を通して女子選手の体型の変化が演技に与える影響を、どこよりもわかりやすくお届けします!
ザギトワ身長が大きく伸びたことで体型の変化が!ジャンプに影響があった!?
フィギュアスケートのグランプリファイナルで、平昌オリンピックの女王アリーナ・ザギトワは、最下位になってしまいました。
(ロシアのアリョーナ・コストルナヤが優勝し、2位にアンナ・シェルバコワ、3位にアレクサンドラ・トルソワが入り、後輩が表彰台を独占する結果となりました)
その原因に、急激に伸びた身長と体形の変化があげられています。
平昌オリンピックでの快挙のときにはまだ15歳の少女でした。
そして現在は17歳になり、美しい女性へと変化しています。女性らしい体つきは、彼女をますます美しい女性へと変化させています。その一方で、既に、今シーズンが始まった当初から「戦うのが大変」と指摘する声もあったのも確かでした。2019年のロシア選手権でのザギトワ選手の完敗は、末恐ろしいぐらいの新ロシア勢力の躍進を物語っていました。
確かに、オリンピックの金メダルを獲得したザギトワ選手ですが、日本の紀平梨花選手のようにトリプルアクセルは飛ぶことはできないままでのオリンピックでの優勝でした。その後、ロシアには4回転ジャンプを飛ぶ14歳の選手がいると日本で報道され、私たちは驚きと共にニュース映像を見ました。
男子でも米国のジェイソン・ブラウン選手のように4回転ジャンプを組み込んでいないトップ選手がいます。それなのに、「ロシアの女子には、4回転ジャンプを飛ぶ選手が何にもいる」と驚きの連続でした。アレクサンドラ・トルソワが4回転ルッツを飛ぶのを見たときには「羽生結弦選手でも完璧でないのに」と半ばあきれてしまいました。
女子に必ず訪れる「年齢的体形変化の壁」、安藤美姫・浅田真央も
男子とは異なり、女子には必ず「年齢的体形変化の壁」が来ると私は思っています。
2011年6月10日付の日本経済新聞の記事があります。「フィギュア・体操…17歳は女子選手にとり『魔の年齢』か」というものです。この記事では、フィギュアスケートの安藤美姫(あんどうみき)に取材し、彼女の17〜18歳時の変化について伝えています。
全日本選手権を2連覇していた安藤は、17歳で迎えた同大会で6位に落ち込み、翌年のトリノオリンピックでは15位と低迷しました。安藤さんは低迷の理由のひとつとして「体の変化」を挙げています。どんなにダイエットしても痩せなかったというのです。
確かに、17歳ごろの女子には「体型変化」が大きく現れます。私も中学時代に運動部で連日のように運動をしていた時期から受験勉強を経て、高等学校に入学した時には考えられないほどの体重増加がありました。今思えば、これは単に運動不足によるものだけではなかったのですね。
フィギュアスケートの選手でもなく、普通の女の子ですら体形の変化を感じてしまうほど胸、ヒップ、太腿の部分に脂肪が多く付きます。まして、300gの体重増でジャンプに影響を与えてしまうフィギュアスケートの選手ならなおのことです。
脂肪は男子より増えるのに、筋力は成長期にある男子選手ほどに増えません。これが体操やフィギュアといった芸術性の採点競技に影響をあたえるのです。またこの年頃には、単に伸び盛りで演技が楽しい時期から、競技者として戦うプレッシャーと対峙しなければならない時期とも重なります。精神的変化もあり、トップ選手であればそれはさらに大きなプレッシャーになって当然ですね。
今回のGPファイナルでのザギトワ選手の低迷はこれまでの女子フィギュアスケートの過去の選手にもあった話であるように思います。
日本の浅田真央(あさだまお)選手がトリプルアクセルをいとも簡単に飛び、15歳でGPファイナルも初出場にして初優勝を成し遂げました。その当時、年齢制限により、彼女はトリノオリンピックに出場ができませんでした。その後バンクーバーオリンピックに彼女は出場するも、同い年のライバル韓国のキム・ヨナに敗れ、金メダルを手にすることなく引退となりました。
あの時の浅田真央選手は、3回転-3回転の連続ジャンプが飛べないことと表現力の差が敗因となり、敗れたように日本のマスコミは報道しました。確かに、オリンピックを前に、ジャンプのスランプに陥り、3回転半のジャンプだけが独り歩きをしていました。実際には、彼女も身体的成長と女性らしい体形との戦いに敗れたのではないかと思ってしまうのです。
女優の本田望結(ほんだみゆ)選手も17歳、体型の変化で、演技が不安定になることの悩みを姉・真凛選手に打ち明けていました。
ゲストの村上佳菜子(むらかみかなこ)さん(世界ジュニア選手権優勝者です)も、成長期にともなうジャンプの不調を「重心が一本にならない」と表現。
「昨日まで出来ていたことができなくなる。毎日泣く日々、それが急に始まる」と語っていました。
本田姉妹の番組、詳しくはこちらの記事をどうぞ。
年齢の壁を乗り越えた荒川静香、20代での飛躍
だからこそ、トリノオリンピックでの荒川静香選手のような年齢(24歳)での金メダル獲得はめずらしいのです。
1998年の長野オリンピックの米国タラ・リピンスキー、2002年のソルトレークシティーオリンピック女王の同じく米国のサラ・ヒューズ選手、2014年ソチオリンピックのロシアのアデリア・ソトニコア選手。いづれも、オリンピックの優勝と言う輝かしい成績と共に、すぐに現役引退となっています。
メドベージェワも経験、女子17歳の壁
もちろん、アリーナ・ザギトワ選手の前のロシアのエースであるエフゲニア・メドベージェワ選手(20歳)にも体形の変化の壁は当てはまるだろうと考えています。
シニアデビューの2015-2016年シーズン、2016-2017年シーズン、世界のタイトルを総なめにして、無敗の女王とまで言われました。
2018年、17歳のとき、平昌オリンピックではザキトワ選手に敗れ、銀メダルでした。足の不調によりこの年のグランプリファイナルと世界選手権には出場していません。
2018ー19年シーズン、シーズン前半は不調におわり、グランプリファイナルへの出場権も逃します。
しかし現在は、カナダのオーサーコーチの元で着実に練習を積み、自分なりの表現を開花させつつあるように感じます。
「38歳になっても健康が許すなら、リンクにでていきたい。だって、スケートはわたしの人生だから。」
長くスケートを続けていくのだという意思が伝わってきて、うれしいコメントですね。メドベージェワ選手の現在について、詳しくはこちらの記事をどうぞ。
「女子17歳の壁」は、ひとりの人間として表現者となる大きなステップと信じたい
過去に、金メダルに輝いたロシア選手の多くは、その後、引退しています。残念なことに、リプニツカヤ選手のように拒食症に苦しみ、演技が続けられなくなってしまう女子選手もいます。
高難度ジャンプを習得するという技術面の壁は、10代前半の選手が優位です。それは身体面の制限で仕方のないことかもしれません。
しかし、フィギュアスケートの魅力は「選手それぞれの個性」、「表現力」にあると私は信じています。
演技を続けて20代を迎えるころ、少女の頃とは違った演技の魅力がでてきます。
「女子17歳の壁」は、ひとりの人間として表現者となる大きなステップなのかもしれません。
ザギトワ選手はもちろん、すべての女子選手がその壁を自分なりに超えていけることを願ってやみません。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。